あっという間に機能不全に陥る組織をどのように機能させるか

投稿日:2015/03/29 カテゴリー:ブログ

せっかく組織で動いているのだから、
個人では成し遂げることのできないことを創りたい。

そして相乗効果を創りたい。
つまり足し算によって、総和以下ではなく、
総和を超えるものを生み出していることが望ましい。

あるいは掛け算。
組織だからこそ、
個人が1を上回るパフォーマンスを発揮し、
その掛け算の成果が生まれていくことを創りたい。

しかし実際はどうだろうか?
世の中の組織において、
人数の総和を上回るようなパフォーマンスや成果を手にしているところは、
実際にはかなり少ない。

チームとは?

ピーターホーキンス著、田近秀敏監訳「チームコーチング」(英治出版)では、チームを以下のように定義している。

チームとは、共通の目的、達成目標、アプローチに合意しその達成を誓い、
互いに責任を分担する補完的なスキルを持つ少人数の人たちを言う。
一般的なアプローチで必要なのは、
士気と一致団結状態を高め合うような効率のよい会議とコミュニケーション、
チームにとっての主な利害関係者すべてに対する効果的な関与、
そして個人およびチームが常に学習と発展を続けられるような手法である。

チームが有効に機能するために必要な10の側面

(1)少人数
(2)補完的なスキル
(3)コミットする人々
(4)共通の目的
(5)一連のパフォーマンスゴール(遂行目標)
(6)共有されたアプローチ
(7)メンバーの相互責任感
(8)士気と一致団結状態を高めるような効率のよい会議とコミュニケーション
(9)主な利害関係者すべてに対する効果的な関与
(10)継続的な学習と発展

チームコーチングでほぼ必ずやること

チームコーチングにおいて、まず最初に必ずやることは、
チームの方向性を合わせること。

つまり、

  • ミッション(チームの存在理由)
  • ビジョン(チームが動くことで創り出す状態)
  • チームバリューズ(チームが大切にする価値観や信念)
  • 組織やチームの現状分析
  • 目標(ビジョンに繋がる具体的な数字)
  • 戦略策定や具体的な行動計画

こういったことを明確にする。
これは基本的には、誰かから与えられるものではない。
自分たちで考えて創り出すものだ。

または、与えられているものに、自分たちで意味づけをしていく。

明確な”つもり”でかなりあいまいな組織の方向性

「こんなこと当たり前だしやっている」
「理念は共有している」
「朝礼で毎日唱和している」

と思う人もいるかもしれないが、想像以上にあいまいになっているものだ。

方向性は『認知』していても『理解』しているかは微妙だし、
また、『理解』していても『実践』しているかと言われると、さらに微妙だ。

額縁に入れられた経営理念。
名刺大にして配られる会社の指針。
『絵に描いた餅』ではなく、ちゃんと食える状態になっているだろうか。
朝礼で唱和する際に、魂が入っているだろうか。
まるで念仏のように口にされる光景は、
決して珍しくないのではないだろうか。

 

さて、自分たちでチームの方向性を一致させると、
全てが『自分事』となる。

理屈ではなく、そうなる。
結果的にかなり盛り上がる。

チームがぶつかる壁

私は経営幹部チームのチームコーチングを実施することが多い。
そして、私がチームコーチングを実施してきたすべてのチームは、
以下のような壁にぶつかっている。

周りとの乖離

チームコーチングを実施しているチームはストレッチな成果に一本化され、
モチベーションもかなり高い状態となる。

チームで立てた目標は、そこにいる人たちだけで達成できるものではない。
組織の他メンバーの力を合わせる必要があり、巻き込む必要がある。

しかし、そこに参画していない周りの人々は、
当然ながらゼロからのスタートなわけで、
一時的にかなりの温度差が生じている。

目先の仕事に追われる

方向性がなかったチームにとって、
あるいは、掲げてはいたけど所有していなかったチームにとって、
自分たちで定めた方向性やのすべては、
『特別』なものになる。

初めて買った30万円のスーツのようなものだろうか。

キラキラしてるし、パリッとしてるし、
「なんかすごく大事にしたい」特別なもの。

でも突然こんなもの着ていったとしたら、
周りの人はどう思うんだろう?
汚れちゃったらどうしよう。
とりあえずなんか特別な、それも晴れている日だけこれを着ていこう。

本当は普段着にできたらかっこいいなって思うのだが、
とりあえずしまっておいて、
いつもの着慣れた服に戻っていく。
結果、30万のスーツは、年に1回着るか着ないかの、
ホコリをかぶったスーツへと化していく。

チームコーチングをやって、
方向性を合わせたり、
今までとは違う戦略を立てたり、
今までは手が付けられていなかった、
緊急ではない重要項目に関するプランを決めたりすると、
なんだかこれに似た特別感が出てしまうようだ。

しかも、現場にはいつもどおり、仕事が山ほどあるわけだ。

そうすると、
「あれはあれだよな…」
と、チームコーチングで決めたことは日常と区別されてしまう。

チームコーチングで決めたことを特別視してはいけない。
当たり前のこととして日常に取り入れていかなければならない。

この意識の変革がなかなか難しい。

時が立てば必ず起こるモチベーションの低下

最初に方向性を合わせ、気持ちをひとつにした状態を、
何もしないでずっと保てるのであれば、
こんなにラクなことはない。

しかし、どんな素晴らしいチームも、モチベーションの低下が起こる。
しかるべきタイミングで、初心に戻したり、新しい何かを見せたり、
チームメンバーのモチベーションが上がるような仕組みをつくることは重要だ。

会議かもしれないし、
コーチングや面談かもしれないし、
報酬なんてのもあり得る。短期的な成果を積み上げていくというのもかなり有効。

チームを機能させる3つのコツ

  1. 方向性を”明確に”合わせること
  2. 方向性を日用品にすること
  3. モチベーションが高まるような仕組みをつくること

方向性を合わせることについては上記で書いた通り。

方向性を日用品にするというのは、
決めたことを意識して当たり前に取り組むということ。
日常的に自分たちのミッションやビジョンを分かち合うということ。

「私たちのミッションってこれなんだ」
「こういう状態を創りたいんだよ(ビジョン)」
「この目標を達成するんだ。お客さんのために!」

年に1度の発表会にする必要はない。
毎日のようにわかちあえばいい。

すればするほど、周りに浸透していく。
「浸透させよう」
「伝えなければならない」
「理解させないと」
「巻き込まなきゃ」

こういう意識はかえって分離を生む。

当たり前に分かち合っていたら、
いつの間にか周りのみんなに伝わってた。
いつの間にか巻き込めちゃっていた。

このくらいがちょうどいい。

そして、わかちあえばわかちあうほど、
自分自身が力づくし、意味づけがされる。

ブログ著者plofile
リーダーズベースジャパン 代表
半谷知也(はんがいともなり)
web:hangaitomonari.com
著書
「こどもが自力で受験を突破する109の問いかけ」
「チームコーチング」(kindle版)